個人的映画ハルチカ総括

今年の2~3月の映画「ハルチカ」宣伝期に買いまくった雑誌をようやく解体して、ファイリング完了した。
普段ほとんど雑誌は買わないようにしてるんだけど、この時ばかりは映画誌はもちろん完全ターゲット外のギャル誌まで、把握できる範囲はほぼ購入。映画初出演の記念というのもあるし、次いつこういう機会があるのか分からないから、買っておかないと絶対後悔するだろうなあって思ったのもある。

40~50cmぐらいになってた雑誌タワーが

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ファイル1冊半ぐらいに圧縮。

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円盤が発売されて改めて本編やメイキング、ビジュアルコメンタリーを見て、いろんな意味でおもしろい作品に出演したなあ勝利くん、と思う。

 何より市井監督が作品に思い入れを持って下さっているのが、出演者のファンとしてすごくうれしい。
宣伝や予告編の方向性から製作側は恋愛要素強めの仕上がりでオーダーしたんじゃないかと邪推しているのだけど、市井監督は表現したいものを貫くために交渉もしただろうし、画として映える窓ドンとか港でのハグは駆け引き材料として取り入れたのかな、なんて想像してしまう。仮にもし、実際にしょりかんで恋愛映画が欲しかったのなら、違った原作渡したとは思うけど。それにしたってあの恋愛映画を想像させる宣伝は謎。部活映画、じゃヒキが弱いと判断したのかな。や、恋愛要素は0じゃないんですよ、いろんな意味で。

清水くんとか恒松さんとかこれからきそうな若手の役者さんたちが参加してるのもよい。オーディションで監督が選んだ役者さんだけあって、彼らのシーンはお芝居にぐっと引き込まれる。メインキャストじゃないけど吹奏楽部の委員長とかいっつも寝てるクラリネットの手塚とかハルタに惚れてる麗華さんとか、あとはパーカスの女子もなんか印象的だった。そういえば、メインキャストの中では一番地味目の役だった上白石萌歌ちゃんが、ここんとこすごく活躍してるのはなんかうれしいw

「音」にこだわってたのもおもしろいなと思ったところ。まずアイドル2人が主演のアイドル映画なのに主題曲はオリジナルの吹奏楽だし、劇中音楽にもいわゆるJ-POPは使ってなかった。それからバスの吊革を握る音とか楽器を磨く音、上履きで廊下を歩く足音、教科書をめくる音、タクトを置く音などなど、ささいな生活音の数々が全編に散りばめられていたこと。リアルに下手くそな上を向いて歩こうも好きだったw でも音関係で一番印象的だったのは「無音」。レイトショーで何回か見たのだけど、いいのかわるいのか、劇場内に片手人数しかいないという状態だったので、ちゃんと音場が計算されている場所で余計な物音がしないという環境で見られたのは大きい。これは家でヘッドホンで見ても味わうことができない、この映画の鑑賞環境としては最高の空間だったと思う。とにかく「無音」のシーンが、本当に無音で見られたので、音ありのシーンとの対比が際立ってて、なんというかゾワゾワしたのです。映画の中でハルタとチカが音に関してやり取りするシーンもあって、何かしら監督が伝えたかったことのひとつなんだろうなあ。

それから出演者をとにかく綺麗に撮ろうっていう映画じゃなかった。もちろんすごく綺麗に撮っている場面もあるんだけど、エンドロール直前のシーンとか勝利くんも環奈ちゃんも写りがそんなに良くなかったりする。けどあのなんとも言えない表情を交互に映し出しだして映画を締めたってことに、意味があるんだと思う。

賛否両論というか、出演者のファンじゃなくても熱量高く評価した人がいる一方で、勝利くんファンでもさっぱり面白くなかったと評する人もいるしで、刺さる人刺さらない人がきっぱり分かれたのもおもしろいと思ったところ。多少デフォルメが効いた人がいたりもするけど基本的に登場人物は”普通”の範疇におさまるキャラクターだったし、わかりやすく派手な事件もおきず、かといえばミュージカル調のシーンが挟まれるで、なんだこりゃと思った人がいるのもまあ分かる。
けど個人的には、部室でのぶつかり合いからラストまでがすごく好きで、BDでは前半すっ飛ばしてそこばっかり見てたという邪道な見方をしてた時期もあって。台詞が排除されて、音と動きと表情になってからの流れがより一段と好き。中庭にみんなが集まって、の整合性とか取っ払ったクライマックスは、人によってはポカーンなんだろうけど、自分にはカタルシスがあって何回見ても何かしら心が動く感じがする。あんなの映画ならではだと思うし。

よくばりを言えば、前半の部員集めのとこは連ドラで1話1人ずつスポットをあてて、という形式で見たかったなと。原作のミステリーをテイストとして取り入れるためだったんだろうけど、尺があまり取れない関係からかいろいろ中途半端で残念だなと思っているのが正直なところ。けど前半連ドラで後半が今の形の映画だとしたら、内容もテイストも違いすぎて別作品でやれよって話にはなるんだけど。 なんだかんだ「吹奏楽」というキーワードを軸に全編展開しているからこそ一つの作品として楽しめたので、ないものねだりはやめときますw


何はともあれ、環奈ちゃんの相手役に勝利くんをピックアップしてくれてありがとう、とキャスティング担当の方にお礼を申し上げたい。W主演とはうたっているけど、表の主役がチカちゃんで、裏の主役がハルタだと思うから、チカ=環奈ちゃんありきだったと思うハルタの人選。おかげさまで、一度は見たいと思っていた勝利くんと環奈ちゃんの共演が、こんなに早く実現して本当に嬉しかった。
共演女優としての環奈ちゃんが振る舞いといい立ち回りといい完璧すぎたので、次に勝利くんが出演する作品でご一緒する女優さんを厳しい目で見てしまうだろうということだけが、この共演の唯一の欠点だったかもw

  

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